朝の暗いうちから田圃の草むしりで、
初老の夫婦は今日も日暮れまで働き、
おかみさんは一足先に風呂に入るようにすすめ、
風呂から出た亭主と夕飯を済ませ、
亭主が晩酌をしながらテレビを見ている間に、
おかみさんは風呂に向かう、 突然甲高い声がする。
亭主を呼び、ネズミ取りにネズミが捕獲されたので、早くかたしてくれと騒ぐ声がする。
気のやさしい亭主は晩酌の途中だったが、針金製のネズミ取りをぶら下げて表に出ていった。
亭主は星空をしばらく眺めて、家に戻り夕飯を済ませ、テレビを見ていると、 おかみさんは眠くなったので先に寝るといい蚊帳をつり、疲れたので先に休みますと寝てしまった。
亭主は酒を飲みながらテレビの時代劇を見ていた。老舗の後妻と若い番頭が浮気の場面で、着物の胸元から白い型のいい乳房を、番頭の手が軽くもむと白い内股がはらりと見えた。
亭主が思わず息を飲み込んで、寝間に目をやると軽いいびきをかき、はだけた胸元から大きな乳房が半分はみ出していた。
亭主は思わず蚊帳の中にはいり、大きな乳房を揉んでしまった。 すると明日も早いのでやめてくださいと、寝返りをして寝てしまった。
気のやさしい亭主は静かに蚊帳を出て、飲み残しの酒をいっきに飲み、表に出ていった。湧水を引いたいる端の洗い場で、竹で作った、椅子に腰掛けうとうと寝てしまった。
夢の中で、若い女の子が、水をちょうだいと言ったような気がした。
人懐っこい顔をした、その子が半分酔った九州に肩を揉んであげると言い、弟子は夢を見ているのだと思った。
女の子はくるっと前に回ると、首に両手を回してきた。
男は、酔いから目が覚めて立ち上がると、今度は腰に両足を巻きつけてきたが、不思議に殆ど重さを感じない、その子がおじさん何をしてもいいよと、小さな胸目の前にさらけ出し立ち上がると、流しに置いてあった洗い物を蹴飛ばし大きな音がした。
流石に男は現実に引き戻された。
その子は風船が縮むよりも早く足元に小さくなりながらも、宿替えをしなくてはと言い、小さなネズミが草むらに駆け込んでいった。男もやっと酔いも覚め事態がはっきりしてきた。
晩酌の途中でネズミを殺すに忍びなく逃した、子ネズミだったのだろう。
男は星空を眺めながら、この世に何が起きても、不思議は無いものだと遠い宇宙を見た。
内田豊 090-4619-****
posted by おちば工房 at 22:27|
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日記